数日前の出来事

閉店後店のカウンターでひとり伝票整理をしていると「終わりですか?」と声をかけられた。

声のした方を見ると老夫婦らしき二人がいた。

表の電気も消えて、シャッターも半分おりてる店の中で、マスターらしき人物がカウンターで何やら事務処理をしている。

これで閉店していない店があるはずがない。

もちろんそんな事は承知で「終わりですか?」と声をかけたのだろう。

そう思った僕は「すいません終わりました」と言った後に「満足なサービスは出来ませんが、よろしければ一杯飲んで行きませんか?」と聞いてみた。

「どうぞこちらへ」とさらに勧めると、申し訳なさそうに二人は店に入って来た。

オーダーを聞いたらカクテルをお願いしたいと言う。

カクテルはどんなのが良いか聞くと、「今までの64年の人生で、一度もカクテルを飲んだ事がないからお任せします。」と言われた。

それでモスコミュールとファジーネーブルを出すと、とても美味しいと喜んでくれた。

帰り際に男性の方が「僕の顔覚えておいてよ。カクテルの名前覚えきれないから、次来た時にいつものって注文するからこれ出して」って言ってくれた。

長い人生で初めて飲んだカクテルが僕の作ったカクテルで、それをお二人で楽しそうに飲んでくれた。

このお二人に、少しだけ幸せな時間を作ってあげられたのかな～って思うと僕も何だか嬉しくなりました。

バーテンダーやってて良かったと思える出来事でした。


それでは良い夜を♪


本日《shot bar ISLAY》は定休日です。